装飾性が強調され広範多岐に使われる。
武家の誇りでもあった家紋も、大平の続く元禄期ともなると、装飾的な面が強調されるようになる。
家紋の形も優美になり、鹿子に染めた鹿子紋、金糸を使った縫紋など、派手な世相を反映、用途も衣服だけでなく広範多岐にわたって一挙に拡大していく。
そのうち甲胄、刀剣などの武具を除くほとんどの使われ方が、明治を経て現在に至っている。
目につくところでは、商家の暖簾、漆塗仕上げのお椀・膳の祝膳一式、風呂敷、ふくさ、衣裳行李、蒲団表地、鏡、鏡台掛け、法被、袋物、旗幟、文庫、かんざし、酒盃、提灯、線香立て、お神輿、襖から瓦、墓石にいたるまで、江戸の名残りをとどめている。
現在ではさらに、会社のマークからネクタイ、タイピン、カウス、コンパクト、帯留、バックルなど装身具、アクセサリーまで及び、応接間のインテリアに家紋の額をかけている人もある。
武具の系統としても、五月人形、兜飾りにその名残りをとどめている。
家紋は、いわばその家のマークである。
それにしても、われわれの先祖には、何とすばらしいデザイナーが沢山いたものだろう。
花や植物をテーマにしたものが多いが、情感あふれみごとなデザインがこれだけ集約されているものは珍しい。
最近のわけのわからないのが売り物のナウいデザイナー諸君にも、大いに参考になろう。
こんなわが家のマークがあるということを、もう一度見直してみよう。
西洋にも紋章というものがある。
王候貴族や、名家のシンボルマークだが、こちらの方はライオンや鷲、盾、刀剣、槍などに幾何学模様的なものをからめたものが多い。
ひいき目を割り引いてみても、わが家紋の方に軍配をあげるのに異議ある人はあるまい。

