裏紋と女紋とは?

 
人生に表裏、町にも表通りと裏通りがあるように、紋にも表紋と裏紋がある。
表紋は定紋、本紋、正紋などともいう。

江戸時代の武家の場合は、幕府に届け出している正式の紋である。
だから、やたらに変更することはできない、参勤交代や登城、儀式のときにはこれを用いる。

しかし、大名、旗本でも私用での外出ということがある。
そうした場合につけるのが裏紋だ。

別紋、控紋、替紋などともいったが、要するに非公式な家紋である。

たとえば大名が吉原あたりに遊びに行くときに、紋付に威儀を正して繰り込むというわけにはいかない。
たちまち身元がバレてしまう。
したがって裏紋の着流しでお忍びで出かけるわけである。


非公式の紋としては、もう一つ女紋というものがある。
家紋は文字どおり家の紋である。

江戸時代までは「女子は三界に家なし」などといわれてきた。
若い時には親に従い、嫁いでは夫に従い、老いては子に従うのが女性だった。

独立して家を持たなければ家紋もないのは当然のことだ。
しかし、定紋とは別に、女性が非公式に女紋を使用することはあった。たとえば武家の娘が嫁に行く場合に、実家の紋をつけた輿入れの品々をもたせる。
ときには女らしい新紋をつくることもあった。


嫁ぎ先の家紋が兜や剣などと男っぽいものの場合、女性らしい紋を新たに持っていくこともあった。

武家ばかりでなく、庶民の嫁入りにもやはり実家の紋を持っていくことがある。
一般的に関西では母の紋を用いる場合が多かったようである。


夫唱婦随の封建社会にあって、女性が自己を主張できるものの一つが女紋だった。


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